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アヴァンティ 2008年 3月号

■「身体感覚を鍛えて」

「ブスほど身体の感覚が鈍い」。
のっけから過激で申し訳有りません。これは皆さんに言ったのではありません。最近息子が私に投げつけた言葉です。子どもの頃母親の毒舌で心を傷つけられ続けたとかで、「ああはなりたくない」と考えたのか優しいタイプに育ちました。ところが敵討ちのつもりでしょうか、私に対しては時々辛辣な発言をするのです。

彼が10才の頃だったでしょうか。日曜日の朝、私はパジャマを着たままコーヒーを片手にダラダラしていました。横に来て座った彼が、「おかあさん、女の人ってもっと良い香りがするんじゃあないの」とため息まじりに言ったのです。私は飛び上がりそうになりました。胸元を嗅いでみると確かに汗くさい。慌ててシャワーを浴びて着替えました。「ちいちゃい頃からがまんしてたんよ」ととどめを刺されて私はおでこをテーブルにいやと言う程ぶつけました。

次は高校生の頃でしょうか。横座りで洗濯物を畳んでいる私をちらりとみて、「お母さんはボクが知っている女の人の中で一番足の裏がきたない」と言うのです。「あなたが何人の女の人の足の裏を知っていると言うの!」と反撃しましたが、確かにカカトは固く黒ずんでいます。もちろんそれからは気をつけてはいますが・・。

彼は大きくなって子どもの頃から興味があった鍼灸の道に進んで開業しました。「ブスほど身体の感覚が鈍い」。この言葉は私を初めて治療してくれた時の言葉です。
「肩こりなんて縁がないから」と言いながらマッサージしてもらった肩は鉄板のようだったそうです。

彼に言わせると健康や美しさに敏感な人は身体の変化にも敏感で、少しでも「変だな」と感じると自分でケアしたり治療を受けたりするのだそうです。頬に吹き出物がポツンと出来ただけでも気にして鏡を頻繁に覗くとも言います。そう言われれば、中学生の頃顔中にイボができた時もほとんど私、気にしませんでした。

確かに彼の言うとおりかもしれません。取材したエステサロンのお客は、どこを奇麗にするのと思うような美しい女性ばかりでした。ヨガ教室でもトドやカバみたいな人はほとんど見かけません。身体感覚に敏感で手入れを怠らないから美しいのか、美しい人はもともと敏感なのか解明出来てはいませんが、もう少し自分の身体の変化に敏感になって気持ちだけでも美人の仲間入りを果たしたいと思い始めました。


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