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アヴァンティ 2007年 9月号

■「子連れは場所をわきまえて」

デパートでエレベーターに乗っていたら、お母さんに抱かれていた赤ちゃんがしゃっくりをしたのです。
「ヒュクッ」
その音の可愛さに今までシーンとしていたエレべーターのなかにクスクスと笑い声が起こりました。赤ちゃんは自分のしゃっくりがこれほど人の心を和ませたとは知らずに、お母さんに抱かれてしゃっくりをしながらエレベーターを降りていきました。赤ちゃんや小さな子どもの存在が人の心を柔らかくする場面はたくさんあります。しかしそれは時と場合によるのです。

東京で仕事をしている若い友人が久しぶりに里帰りして我が家にも遊びに来てくれました。彼女はイスに座るなり、「私は結婚をしていないから子どもに寛容でいられないのかなー」とため息をつきながら話し始めました。仲良しの同級生とそのお姉さんと久しぶりに会って食事をしようということになりホテルのロビーで待ち合わせたのだそうです。
「会ってびっくり。それぞれ2人ずつ子どもを連れて来たのよ」一番下の子はまだ2才。場所はホテルのラウンジ。細かく聞かなくても彼女がどれほど気を遣ったかは想像がつきます。子ども連れでおしゃべりしたければ誰かに預けるか,自宅で集まるかせめてファミリーレストランにしてほしいものです。子育ては人生の中のほんの一瞬。雰囲気のある場所は子どもがお留守番を出来る歳になるまで我慢です。

ところが、世の中が変わって来たのでしょうか。最近の結婚式では子どもの姿を見かけることが多くなったような気がします。最近出席した結婚式も、子どもが多くて、余興でもまだおしめをしているような子が歌いました。私には我慢大会のような結婚式でした(祝儀返せー)。我が子を可愛いと思うのは当然ですが、こういう場所で皆がそれを喜ぶかは疑問です。
しかし花嫁は美しく、新郎も素敵です。いよいよクライマックスのキャンドルサービス。ろうそくの明かりを際立たせるために会場の照明が落とされ、ムードは満点。ドアが開いていざ新郎新婦の入場です。しかしその時、「コワイヨーォ」「クライヨー」と子どもの泣き声が会場に響き渡ったのです。それでも大声で泣いている子どもを会場から連れ出す気配はなく、キャンドルサービスの間中「コワイヨー」がこだましていました。気の毒な新郎新婦。しかし一番かわいそうなのは心ない親に育てられる子どもかもしれませんね。


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